コンサルタントの実務⑥:顧客との関係構築~現場編~
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LHS ブログ 第13号
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■テーマ:コンサルタントの実務⑥:顧客との関係構築~現場編~
コンサルタントが提案する戦略や施策は、最終的に現場の社員の方々の手によって形になります。経営者や幹部との関係構築が非常に重要であることは言うまでもありませんが、現場社員の理解と協力がなければ、やはり実行はされません。
これまでのブログで、経営者や幹部との関係構築についてお話してきましたが、今回は、現場の社員の方々を巻き込み、施策を確実に推進していくための関係構築術に焦点を当ててレクチャーします。
なぜ現場の社員へのアプローチが重要なのか?
現場の社員の方々は、日々の業務を実際にこなし、お客様と直接向き合っています。そのため、会社のリアルな状況やお客様の声、隠れた問題点を最もよく知っている存在です。しかし、新しい施策に対しては、時に抵抗や反発を感じることも少なくありません。その主な理由は以下の通りです。
- 変化への抵抗:
人は誰しも、慣れないやり方への不安や手間、現状維持を望む気持ちを持つものです。 - メリットの不明確さ:
施策の目的や、それが自分たちにどう影響するのかがはっきりしないと、「なぜ今、これをやる必要があるのか?」という疑問が拭えず、納得しにくいでしょう。 - 「やらされ感」:
「上から決められたこと」という意識が強いと、自分ごととして捉えられず、積極的に関わろうという気持ちが薄れてしまいます。 - 日々の業務負担:
新しい施策への対応が、普段の忙しい業務に上乗せされると感じ、負担に思うことがあります。
これらの抵抗を乗り越え、施策をスムーズに実行するためには、コンサルタントが現場の社員に寄り添い、施策を実施することの明確なメリットを伝えることが不可欠です。
施策実施の「メリット」を伝える
現場社員に協力を促すには、まず「なぜこの施策が必要なのか」「これによって何が変わるのか」を具体的に理解してもらう必要があります。重要なのは、会社全体の方針という大きな話だけでなく、社員一人ひとりの「自分ごと」として感じられるメリットを提示することです。
1. 相手のメリットを明確に伝える
社員が最も関心を持つのは、自分自身の仕事や働き方がどう良くなるかです。 例えば、
- 業務の楽化・効率化:
「このシステム導入で、これまで手作業だった入力が自動化され、残業時間を減らせる可能性があります!」 - 自身の成長・スキルアップ:
「新しいツールの習得は、皆さんの専門性を高め、将来のキャリアの選択肢が広がります!」 - 仕事のやりがい・達成感:
「このプロセス改善で、お客様への対応がよりスムーズになり、感謝の言葉が増えることで、仕事のやりがいも増すはずです!」 - 職場の雰囲気改善:
「情報共有が円滑になることで、部署間の連携がスムーズになり、より快適な職場で働けるようになります!」
このように、施策が導入された後の「良い未来」を具体的にイメージさせることで、社員は「自分にもプラスになる」と感じ、前向きな姿勢に変わっていきます。
2. 会社方針と個人のメリットを結びつける
個人のメリットだけを強調するのではなく、それが会社の目標達成や成長にどう貢献するのかを合わせて伝えることで、社員はより広い視野で施策の意義を理解し、当事者意識を持つことができます。
例えば、
- 「この施策で業務が効率化されれば、会社全体の生産性が上がり、それが皆さんの給与や賞与といった形で還元されることにも繋がります!」
- 「お客様の満足度を高めるこの取り組みは、会社の売上や利益を向上させ、皆さんが働く場所としての安定性や将来性に関わってきます!」
- 「新たな市場への挑戦は、皆さんの新しいスキルの習得を促し、それが会社の持続的な成長を支える力となります!」
このように、個人の成長や利益が、会社全体の成長とどのように結びついているかを明確に示すことで、社員は「自分の行動が会社に貢献している」という実感を持つことができ、モチベーションの向上にも繋がります。
現場の社員との関係構築のポイント
- 対話の機会を設ける:
一方的に説明するだけでなく、質疑応答や意見交換の場を設け、彼らの疑問や不安を解消する機会を積極的に作りましょう。 - 現場の声に耳を傾ける:
幹部編と同様に、彼らの意見や懸念を真摯に受け止め、可能であれば施策に反映させる姿勢を見せることで、信頼を得られます。 - 「なぜ」を丁寧に説明する:
施策の背景や目的、将来の展望を繰り返し、様々な角度から説明することで、理解を深めてもらいましょう。 - 成功事例を共有する:
小さな成功でも構いませんので、施策によって実際に良い変化が生まれた事例を共有し、ポジティブなイメージを醸成しましょう。 - 一緒に業務を行う:
私は時に現場の社員の方がやっている仕事を手伝わせてもらう事もあります。同じ仕事をする事で大変な事や働く気持ちを理解できます。
現場社員との良好な関係構築は、コンサルティングの成否を分ける最後のステップです。彼らが施策を「自分たちのもの」と感じ、主体的に行動することで、提案された戦略は真の価値を発揮し、企業の持続的な成長へと繋がっていくでしょう。
■記事作成者:LHS 代表理事 吉貝 徹
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